○直方市政治倫理条例

平成7年3月27日

直方市条例第6号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託の上に成立するという民主主義の原理に基づいて、市長、副市長、教育長(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。)並びに市民の責務を明らかにし、公正で開かれた民主的な市政を実現するために必要な制度を定め、措置を講じることを目的とする。

(市長等及び議員の責務)

第2条 市長等及び議員は、市民全体の代表者又は奉仕者としての職責を深く自覚し、地方自治の本旨に従ってその使命の達成に努めなければならない。

(令5条例6・一部改正)

(政治倫理基準)

第3条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として、その品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関し不正の疑惑の念をもたれる行為をしないこと。

(2) 常に市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、その地位を利用しいかなる金品も授受しないこと。

(3) 市が行う請負契約、委託契約及び一般物品納入契約に関し、特定の業者の推薦又は紹介をしないこと。

(4) 市職員採用に関して、推薦又は紹介をしないこと。

(5) 政治活動に関し、企業、団体等から寄附等を受けないものとし、その後援団体についても、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄附等を受けないこと。

2 市長等及び議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

(令5条例6・一部改正)

(宣誓書の提出)

第4条 市長等及び議員は、規則で定めるところにより、この条例を遵守する旨の宣誓書を提出しなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、自らも市政を担い公共の利益を実現する責任を有することを自覚し、自己の利益を図る目的をもって市長等及び議員並びに市職員に対し、その地位又は職務による影響力を不正に行使させるような次に掲げる働きかけを行ってはならない。

(1) 市が行う請負工事、一般物品購入及び委託契約等に際しての特定業者の指名依頼

(2) 市職員採用に関しての推薦又は紹介の依頼

(3) 寄附及びもてなし(交通、宿泊、飲食、娯楽等)の提供又は要求

(4) その他、強要等社会通念上疑惑を持たれる行為

(令5条例6・一部改正)

(資産等報告書の提出義務)

第6条 市長等及び議員(第10条第2項及び第11条第2項において「提出義務者」という。)は、毎年5月31日までに次条に掲げる事項を記載した資産等報告書を、市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。

2 市長等及び議員は、資産等報告書を提出する場合においては、自己の配偶者及び両者が扶養する親族に係る資産等報告書も併せて提出しなければならない。ただし、その資産等報告書に記載する事項は、当該者の1月1日現在の資産、地位及び肩書並びに前年1年間の収入及び贈与とする。

(令5条例6・一部改正)

(資産等報告書の内容)

第7条 資産等報告書には、次の各号に掲げる区分ごとに、当該各号に定める事項を記入し、必要に応じて規則に定める資料を添付しなければならない。

(1) 資産

 土地 所在地、地目、面積、価額及び取得の時期

 建物 所在地、種類、構造、床面積、価額及び取得の時期

 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類、契約期日及び価額

 動産 動産の種類、価額及び取得の時期(ただし、生活に通常必要な備品は除く。)

 預貯金 預貯金の預入金融機関名及び金額

 有価証券 公債・社債の名称、種類及び額面金額 株式の銘柄、株数、取得の時期及び額面金額並びに報告の年の1月1日現在の時価総額

出資先、出資の額及び出資の時期又はその他の有価証券の種類及び額面金額

 信託に関する権利 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、数量及び価額並びに信託の時期

 貸付金及び借入金 貸付金及び借入金の明細、契約期日及び金額

 ゴルフ等会員権 会員権のゴルフ等のクラブの名称及び口数

(2) 地位及び肩書

 所属する企業その他の団体すべての役職名(ただし、宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)

 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取り決めについての相手方及び条件

(3) 収入及び贈与

 給与、報酬、事業所得、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、年金、その他のこれらに類する収入の出所及び金額

 贈与及びもてなしの出所、内容及び価額又は金額(ただし、3親等以内の親族からの贈与及びもてなしを除く。)

(4) 保証債務

本人の就任後の金銭保証ないし身元保証等の保証債務

(5) 税等の納付状況

 所得税、事業税、市県民税、固定資産税、都市計画税、国民健康保険税、介護保険料、後期高齢者医療保険料、自動車税及び軽自動車税の毎年5月31日現在における前年度分の納付状況

 その他普通地方公共団体に関する使用料等の毎年5月31日現在における前年度分の納付状況

(令5条例6・一部改正)

(政治倫理審査会の設置とその職務)

第8条 資産等報告書の審査その他の処理を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、直方市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

2 審査会の委員は6人以内とし、資産等報告書の審査に関して専門的見識を有する者及び法第18条に定める選挙権を有する市民のうちから議会と協議のうえ、市長が委嘱する。

3 審査会の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 審査会は、資産等報告書の審査、報告等を行うほか、この条例による政治倫理の確立を図るため、市長の諮問を受けた事項につき市長に対して必要な答申又は勧告を行うものとする。

5 審査会の会議は、非公開とする。ただし、やむを得ず公開とするときは、出席委員全員の同意を必要とする。

(守秘義務等)

第9条 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後もまた同様とする。

2 審査会の委員は、特定の政党、候補者、市長等又は議員を支援し、若しくはこれらの者に不利益を与え、又は市政に影響を及ぼす目的のために、その職務を利用してはならない。

3 審査会の委員は、公平かつ適正にその職務を遂行しなければならない。

(資産等報告書の審査)

第10条 議長は、第6条の資産等報告書の写しを市長に送付し、市長は、市長等及び議員の資産等報告書の写しとともに、それを毎年6月15日までに審査会に提出し、審査を求めなければならない。

2 審査会は、資産等報告書に疑義があるときは、提出義務者(当該者の配偶者及び両者が扶養する親族を含む。)からの事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 審査会は、第1項の規定により審査を求められたときは、審査を求められた日から起算して60日以内に意見書を作成し、市長に提出しなければならない。

4 市長は、前項の意見書のうち、議員に係る意見書は議長に送付しなければならない。

(令5条例6・一部改正)

(資産等報告書及び意見書の閲覧)

第11条 市長及び議長は、資産等報告書及び前条第3項の意見書を、意見書が提出された日から起算して15日以内に市民の閲覧に供しなければならない。

2 資産等報告書及び意見書の閲覧期間は、閲覧開始の日から提出義務者の任期満了後1年間とする。ただし、市長等及び議長については、任期満了後5年間とする。

3 市民は、閲覧により知り得たことは第1条の目的に沿うよう適正に利用しなければならない。

(市民の調査請求権)

第12条 市民は、次の各号に掲げる事由があるときは、これを証する資料を添え、法第18条に定める選挙権を有する者50名以上の連署をもって、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に調査を請求することができる。

(1) 資産等報告書に疑義があるとき。

(2) その他この条例に定める政治倫理基準に反する行為をした疑いがあるとき。

2 前項の規定により調査を請求されたときは、議長にあっては調査請求書と添付資料の写しを市長に送付し、市長は市長等及び議員に係る調査請求書と添付資料の写しを調査を請求された日から起算して7日以内に審査会に提出し、調査を求めなければならない。

3 第10条第2項の規定は、前項の調査の場合にこれを準用する。

4 市長等及び議員は第1項の規定による調査請求を受けたときは、審査会において釈明することができる。

5 審査会は、調査の請求を受けたときは、その日から起算して60日以内にその調査結果を市長又は議長及び請求者に文書で回答しなければならない。

(虚偽報告等の公表)

第13条 市長又は議長は、審査会の意見書に資産等報告書の提出の遅滞、虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を市広報等で公表しなければならない。

(贈収賄罪の第一審有罪判決宣告後における説明会)

第14条 市長等又は議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで及び第198条に定める贈収賄罪により第一審有罪判決の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に、市民に対する説明会の開催を求め、当該市長等又は議員は説明会に出席し釈明することができる。

2 市民は、前項の規定による説明会が開催されないときは、法第18条に定める選挙権を有する者50名以上の連署をもって、当該市長等又は議員に説明会の開催を要求することができる。

3 前項の開催請求は、第一審有罪判決宣告の日から30日を経過した日以後20日以内に、市長等に係るものについては市長を、議員に係るものについては議長を、通じて行うものとする。

4 市民は、説明会において当該市長等又は議員に質問することができる。

(贈収賄罪確定後の措置)

第15条 市長等又は議員が前条の有罪判決を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市長又は議会は、市政の名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため、必要な措置をとるものとする。

2 議会は、前項の議員に対し、法第134条及び第135条の規定に基づき懲罰を科することができる。

3 市長は、第1項の措置に際して、審査会に諮問し、意見書の提出を求めるものとする。

(贈収賄罪確定後の立候補の辞退)

第16条 市長又は議員が贈収賄罪による刑が確定したときは、それ以降の市長又は議員の選挙の候補者となることを辞退するよう努めなければならない。

(市工事等の契約に関する遵守事項)

第17条 市長等及び議員の配偶者及び同居の親族並びに2親等以内の親族は、法第92条の2、第142条、第166条第2項及び第180条の5第6項の規定の趣旨を尊重し、市民に疑惑の念を抱かせないため、市工事等の請負契約(下請負を含む。)、委託契約及び一般物品納入契約を辞退するよう努めなければならない。

(委任)

第18条 直方市職員の責務及び倫理の確立に関する事項については、別に定める。

2 この条例に定めるもののほか、この条例の施行について必要な事項は、市長及び議会が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成7年5月2日から施行する。

(適用区分)

2 第6条の規定は、平成8年に提出する資産等報告書から適用する。

3 施行日以後最初に提出する資産等報告書においては、第6条第1項中「前年1年間」とあるのは「施行日からその年の12月31日まで」と読み替える。

(直方市政治倫理審議会条例の廃止)

4 直方市政治倫理審議会条例(平成6年直方市条例第4号)は廃止する。

(平成17年12月12日条例第38号)

(施行期日)

1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(平成19年3月16日条例第6号)

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成25年6月28日条例第18号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年3月10日条例第6号)

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

直方市政治倫理条例

平成7年3月27日 条例第6号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第3編 行政通則/第4章 政治倫理
沿革情報
平成7年3月27日 条例第6号
平成17年12月12日 条例第38号
平成19年3月16日 条例第6号
平成25年6月28日 条例第18号
令和5年3月10日 条例第6号