○直結式給水施行要綱
平成13年3月14日
直方市水道局告示第2号
目次
第1章 総則
1―1 適用
1―2 給水方式
1―3 直結式給水の方法
1―4 給水方式の選択
第2章 メーター以下の給水方法
2―1 給水管の口径
2―2 給水管の選定
第3章 3階建て以上の直結式給水
3―1 適用
3―2 建物の定義
3―3 設計水圧
3―4 吐出圧力
3―5 メーターの設置及び収納
3―6 増圧ポンプ
3―7 増圧ポンプの設置
3―8 共同給水栓
3―9 配水管、取出し給水管及び引込み給水管
3―10 逆流防止器具及びボックス等
3―11 止水栓類及びボックス等
3―12 空気弁
3―13 減圧弁
3―14 逆流防止器具までの基本構造
3―15 直結給水用増圧装置の仕様
第4章 給水装置の設計
4―1 設計水量
4―2 設計水圧
4―3 給水管及びメーター口径
4―4 最大動水こう配及び最大流速
4―5 摩擦損失水頭
4―6 残存水頭
第5章 工事の申込み
5―1 工事
5―2 事前協議等
5―3 調査・設計
5―4 工事の申込み等
第1章 総則
1―1 適用
(1) 新築又は既設の建物(以下「建物」という。)に対し、直結式給水を実施する場合において適用するものとする。
(2) 3階建て以上の建物に直結式給水を実施する場合は、3階以上の直結式給水に関する基準(以下「直結給水基準」という。)に定めるもののほか、この要綱において別に定める。
(3) この要綱に定めのない事項については、各関係規定によるものとする。
1―2 給水方式
配水支管(配水本管(幹線として布設した配水管をいう。)から分岐した配水管をいう。以下「配水管」という。)内の水圧をもって直接給水する方式及び給水管内の水圧を増圧し給水する方式を直結式給水という。また、水槽を経由して給水する方式を水槽式給水、直結式給水と水槽式給水を併用した方式を併用式給水という。
1―3 直結式給水の方式
直結式給水の方式は、次の各号のとおりとする。
(1) 直結式直圧給水(以下「直圧給水」という。)
配水管内の水圧をもって直接給水する方式をいう。
(2) 直結式増圧給水(以下「増圧給水」という。)
給水管内の水圧を増圧して給水する方式をいう。
(3) 直結式複合給水(以下「複合給水」という。)
直圧給水と増圧給水を複合して給水する方式をいう。
1―4 給水方式の選択
給水方式は直結給水とし、次の各号に掲げる場合は水槽式給水によるものとする。ただし、管理者が特に認める場合に限っては、併用式給水とすることができる。
(1) 一時に多量の水を使用する場合
(2) 地階の階数が2以上ある建築物に給水する場合
(3) 直結式給水が困難と認められる場合
(4) その他、水槽式給水を必要と認める場合
第2章 メーター以下の給水装置
2―1 給水管の口径
(1) メーター以下の給水管は、水圧及び使用水量並びに当該給水装置の所要水量を考慮して、適正な口径にしなければならない。
(2) メーターの下流は、メーターと同口径又はそれ以下にしなければならない。
2―2 給水管の選定
給水管は、布設箇所の状況に最も適したものを選定しなければならない。
第3章 3階建て以上の直結式給水
3―1 適用
1―1―(2)の規定により、3階建て以上の建物に給水する場合の基準について定める。
3―2 建物の定義
この章において、一戸建て建物とは一つの建物内に一戸が存在し、メーターが一個の建物で専用住宅、店舗、事務所等の建物をいう。また、一戸建て以外の建物とは一つの建物内に二戸以上が存在し、メーターが二個以上の建物で専用住宅、店舗、事務所及びこれらの複合した建物をいう。
3―3 設計水圧
直結給水基準第3条第1号による設計水圧は0.196メガパスカル{2.0kgf/cm2}とし、配水管等の最小動水圧が0.196メガパスカル{2.0kgf/cm2}を下廻る場合は、0.147メガパスカル{1.5kgf/cm2}とする。
3―4 吐出圧力
直結給水基準第3条第3号の規定による増圧ポンプ(増圧給水及び複合給水で使用する給水ポンプをいう。)の吐出圧力は、0.75メガパスカル{7.6kgf/cm2}とする。
3―5 メーターの設置及び収納
(1) 一戸建て建物の場合は、水道事業の指定のとおりに設置及び収納する。
(2) 一戸建て以外の建物には、水道メーター取替時に流路切換弁を開きバイパス側を通水させることにより、断水を回避する機能を持ったメーターバイパスユニットを装備した親メーターを設置しなければならない。なお、メーターバイパスユニットの仕様は、日本水道協会(JWWA)の認証品とし、構造は構造図1のとおりとする。メーターボックスの蓋は、原則として鋳鉄製で検針用小窓付とする。また、各戸のメーターについては、原則として各階のパイプシャフト内に収納しなければならない。
(構造図1)
(3) 前号において、集中検針盤を設置する場合は、建物内の一階部分で管理者と協議の上その指定する場所に、必要な空間を確保しなければならない。
3―6 増圧ポンプ
増圧ポンプの仕様等については次のとおりとする。
(1) 日本水道協会(JWWA)の認証品であること。
(2) 配水管等の圧力が0.069メガパスカル{0.7kgf/cm2}に低下した時点で停止し、その復帰圧力は、0.098メガパスカル{1.0kgf/cm2}であること。なおポンプの設定値は次式を満足すること。
0<7-H≦P H:配水管等から増圧ポンプ設置位置までの鉛直高(m) P:増圧ポンプ1次測でのポンプ停止設定値(m) |
(3) 吐出圧力は、0.75メガパスカル{7.6kgf/cm2}を上限とする。
(4) 増圧ポンプ口径は、増圧ポンプ直近上流側の口径と同口径又はそれ以下とする。
3―7 増圧ポンプの設置
増圧ポンプを設置する場合の基準を次の各号に定める。
(1) 複数の増圧ポンプを直列に設置してはならない。
(2) 増圧ポンプは、原則として1階部分に設置しなければならない。
(3) 増圧ポンプには、維持管理の責任者名及び業者名、操作方法、配管系統図及びその他必要な事項を、標示板等に明記しなければならない。
(4) 増圧ポンプは、年1回以上の点検を行わなければならない。
3―8 共同給水栓
増圧給水及び複合給水を行う場合は、次の各号に定めるところにより直圧給水による共同給水栓を設置しなければならない。
(1) 分岐は1箇所とし、分岐箇所には止水栓を設け給水管の口径は20ミリメートル以上とする。なお、当該配管は管径均等表の適用対象外とする。
(2) 当該給水栓にはメーターを設置し、口径別水道加入金を徴収する。
(3) 当該給水栓は、1階部分で維持管理及び給水作業に支障のない箇所に設置しなければならない。
(4) 当該給水栓は、維持管理上の必要な措置を講じること。
3―9 配水管、取出し給水管及び引込み給水管
(1) 分岐可能な配水管の口径は、50ミリメートル以上とする。
(2) 取出し給水管(以下「取出し管」という。)は、配水管等と同口径であってはならない。なお、取出し管とは、配水管等から分岐した給水管及び各戸に引き込むためのたて管及び横びき管をいう。
(3) 一戸建て以外の建物の引込み給水管(以下「引込み管」という。)の口径は、20ミリメートル以上とする。なお引込み管とは、取出し管から分岐した給水管をいう。
3―10 逆流防止器具及びボックス等
逆流防止器具は、次の各号に定めるところにより設置しなければならない。
(1) 設置位置等
① 一戸建て建物の場合は、取出し管の一階部分で、メーターの直近下流側に設置する。なお、必要に応じて複数を設置する。
(配置図1~配置図3)
② 一戸建て以外の建物の場合は、取出し管の一階部分で止水栓又は仕切弁の直近に、また、引込み管においてはメーターの直近上流側に設置する。
(配置図4~配置図7)
③ 増圧給水及び複合給水においては、増圧ポンプの上流側に設置する。
④ 機構上排水が伴う場合は、目視できるように設置しなければならない。
(2) 収納
一戸建て建物の場合は、直方市指定の鋳鉄製又は樹脂製のメーターボックス若しくはコンクリート製等のメーター室に収納しなければならない。
(3) 機種
① 直圧給水の場合は、口径40ミリメートル以下の逆流防止器具はカートリッジ式とし、口径50ミリメートル以上は減圧式とする。
② 増圧給水及び複合給水の場合は、減圧式とする。
③ 引込み管に設置する逆流防止器具は、逆止弁付直結式止水栓とし、逆流防止機能はカートリッジ式とする。
(4) 保守・点検
逆流防止器具は年1回以上の保守・点検を行わなければならない。
3―11 止水栓類及びボックス等
メーター及び逆流防止器具の直近には、直結止水栓又は仕切弁を取り付けなければならない。
(1) 設置位置等
① 一戸建て建物で、取出し管の口径が40ミリメートル以下の場合は、一階部分でメーターの上流側に直結止水栓を設置する。口径50ミリメートル以上の場合は、一階部分でメーター及び逆流防止器具の直近上下流側に樹脂製仕切弁を設置し、口径75ミリメートル以上の場合は、樹脂製仕切弁に替えて鋳鉄製仕切弁を設置する。
② 一戸建て以外の建物で、取出し管の口径が40ミリメートル以下の場合は、一階部分で逆流防止器具の上流側に甲止水栓又は、青銅製仕切弁を設置する。口径50ミリメートルの場合は、一階部分で逆流防止器具の直近上下流側に樹脂製仕切弁を設置し、さらに口径75ミリメートル以上の場合は、樹脂製仕切弁に替えて鋳鉄製仕切弁を設置する。また、引込み管においてはメーターの直近上流側に設置する。
(配置図4~配置図7)
3―12 空気弁
(1) 配管の最上部及び必要な箇所に、空気弁を設置しなければならない。
(2) 空気弁は吸排気機能を持つ機種とし、必要に応じて排水路を設けなければならない。
3―13 減圧弁
適正な水圧を確保するため、必要に応じて減圧弁を設置しなければならない。
3―14 逆流防止器具までの基本構造
分岐から逆流防止器具までの基本構造は次のとおりとし、メーター及び逆流防止器具の維持管理を容易にするため、伸縮機能をもつ止水栓等、又は伸縮管を設置するものとする。
〈一戸建て建物〉
〈一戸建て以外の建物〉
3―15 直結給水用増圧装置の仕様
直結給水用増圧装置の仕様については、別に定める。
第4章 給水装置の設計
4―1 設計水量
(1) 一戸建て建物の設計水量
一戸建て建物における設計水量の算定は、表1―1の用途別使用量に表1―2の同時使用栓数を考慮して行う。
表1―1 用途別使用水量
用途 | 使用水量 (L/分) | 対応する給水用具の口径(mm) | 備考 |
台所流し | 12~40 | 13~20 | |
洗濯流し | 12~40 | 13~20 | |
洗面器 | 8~15 | 13 | |
浴槽(和式) | 20~40 | 13~20 | |
浴槽(洋式) | 30~60 | 20~25 | |
シャワー | 8~15 | 13 | |
小便器(洗浄水槽) | 12~20 | 13 | |
小便器(洗浄弁) | 15~30 | 13 | |
大便器(洗浄水槽) | 12~20 | 13 | |
大便器(洗浄弁) | 70~130 | 25 | |
手洗器 | 5~10 | 13 | |
消火栓(小型) | 130~260 | 40~50 | |
散水 | 15~40 | 13~20 | |
洗車 | 35~50 | 20~25 | 業務用 |
表1―2 同時使用栓数
総給水用具数 | 同時に使用する給水用具数 | 総給水用具数 | 同時に使用する給水用具数 |
1 | 1 | 11~15 | 4 |
2~4 | 2 | 16~20 | 5 |
5~10 | 3 | 21~30 | 6 |
(2) 一戸建て以外の建物の設計水量
一戸建て以外の建物における設計水量は、次の式を用いて算出する。式により算出した水量は表1―3のとおり。
Q:同時使用水量(L/分 N:戸数)
1~3戸 Q=21N^(1-0.05N) 4~9戸 Q=42N^0.33 10戸以上 Q=19N^0.67 |
上記式は、同時使用率が考慮されている。
表1―3 戸数と同時使用水量
(L/分)
戸数 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
同時使用量 | 39 | 53 | 66 | 71 | 76 | 80 | 83 |
戸数 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
同時使用量 | 87 | 89 | 95 | 100 | 106 | 111 | 117 |
戸数 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 25 | 30 |
同時使用量 | 122 | 127 | 132 | 137 | 141 | 164 | 186 |
戸数 | 35 | 40 | 45 | 50 | 55 | 60 | 65 |
同時使用量 | 206 | 225 | 243 | 261 | 278 | 295 | 311 |
戸数 | 70 | 75 | 80 | 85 | 90 | 95 | 100 |
同時使用量 | 327 | 343 | 358 | 373 | 387 | 402 | 416 |
4―2 設計水圧
(1) 設計水圧は0.196メガパスカル{2.0kgf/cm2}とし、配水管等の最小動水圧が0.196メガパスカル{2.0kgf/cm2}を下回る場合は、0.147メガパスカル{1.5kgf/cm2}とする。
(2) 増圧ポンプの吐出圧力は、0.75メガパスカル{7.6kgf/cm2}を上限とする。
4―3 給水管及びメーター口径
給水管とメーターの口径は同径とし、設計水圧、設計水量及び最大動水こう配を考慮し、水理計算により決定する。また、瞬時最大流量時に、管内流速が表1―4を越えない口径とし、配水管等の水量、水圧等の給水能力をもって計画使用水量が給水可能な口径にしなければならない。なお、給水用具を接続する場合は、その機能から必要とする作動圧及び最低水圧等を考慮しなければならない。
4―4 最大動水こう配及び最大流速
給水管の最大動水こう配及び最大流速は、表1―4を基準とする。
表1―4
口径(mm) | 最大動水勾配(0/00) | 最大流速(m/s) | 流量(L/分) |
20 | 240 | 2.0 | 38 |
25 | 190 | 2.0 | 59 |
40 | 110 | 2.0 | 151 |
50 | 90 | 2.0 | 236 |
75 | 50 | 2.0 | 530 |
100 | 40 | 2.0 | 942 |
150 | 20 | 2.0 | 2121 |
4―5 摩擦損失水頭
器具類の摩擦損失水頭は、表1―5に定める直管換算延長により算出する。
(1) 分岐箇所、異径接合、止水栓、仕切弁の直管換算延長は、換算延長には加えない。
(2) 器具類損失水頭の直管換算延長の算出は、最大動水こう配表の流量を参考にする。
(3) 総損失水頭は、水理計算値の10%増とする。
表1―5 直管換算延長表
口径 | 分水栓 | 止水栓 | 給水栓 | メーター | 逆止弁 | 逆止弁付直結式止水栓 | 逆流防止器具 |
13 | 3.0 | 3.0 | 1.5 | ||||
20 | 2.0 | 8.0 | 8.0 | 11.0 | 2.5 | 2.5 | |
25 | 3.0 | 10.0 | 8.0 | 15.0 | 3.0 | 2.5 | |
40 | 25.0 | 26.0 | 12.0 | 11.0 | |||
50 | 30.0 | 35.0 | 140.0 | ||||
75 | 15.0 | 220.0 | |||||
100 | 20.0 | 380.0 | |||||
150 | 40.0 | 570.0 |
4―6 残存水頭
残存水頭は、給水用具の機能性から必要とする作動水圧又は最低水圧を十分に考慮し決定する。
第5章 工事の申込み
5―1 工事
給水装置工事主任技術者は、工事の全般について水道法等で定める規定に基づき、適切な指導監督等に努めなければならない。
5―2 事前協議等
(1) 工事の申込者は、申込みをするときには指定給水装置工事事業者を通じて、水道事業と協議を十分に行わなければならない。
(2) 工事の申込者は、次の各号に掲げる場合は申込みに先立ち、直結式給水等事前協議申請書(第1号様式)を提出しなければならない。
① 増圧ポンプを使用する場合
② その他判断が困難と認められる場合
5―3 調査・設計
(1) 指定給水装置工事事業者は設計にあたり、調査・検討を十分に行わなければならない。
(2) 指定給水装置工事事業者は、水槽式給水を直結式給水に変更する場合においては、各関係規定を熟知し、適正な設計を行わなければならない。
5―4 工事の申込み等
(1) 直結式給水の申込者は、水理計算を必要とする場合には、水理計算書(第2号様式)を提出するものとする。
(2) 増圧給水又は複合給水の申込者は、増圧ポンプ設置条件承諾書(第3号様式)を提出しなければならない。
(3) 直結給水基準第3条第5号の規定を適用する場合においては、増圧ポンプ設置誓約書(第4号様式)を提出しなければならない。
附則
(施行期日)
この要綱は、平成13年4月1日から施行する。
附則(平成23年3月28日上下水道局告示第16号)
この告示は、平成23年4月1日から施行する。
附則(平成24年11月16日水道事業告示第9号)
この告示は、公布の日から施行する。